弁護士への相談は、破産を決めた後にするべき?
先日、税理士の先生からご紹介を受けた破産事件について、代表者の方から、「弁護士に相談する際には、破産を決めてからじゃないとダメだと思っていました。」というお話をお聞きしました。
また、経営者の方とお話する中では、「相談したらすぐに破産させられるから、弁護士に相談するのは最後の手段」という誤解を耳にしたこともあるので、「弁護士」と「破産」との関係は、そういったイメージなのかもしれません。
しかし、弁護士に相談したからといって、必ずしも破産しなければならないわけではありません。
そもそも、弁護士へ相談したことは、ご依頼者の方以外には知られませんし、会社・事業をどうするかは、最終的には代表者が経営判断で決めるものです。
我々弁護士は、債権債務の整理をしたり、会社の方々と資金繰りについて打合せをしたり、また、必要に応じて税理士の先生とも相談しながら、会社を継続する道はないか、また、第三者に譲渡して、事業だけでも生かす道がないかなどを検討し、もし、破産するとなれば債権者への連絡はいつするとよいといった見通しを立てて、どうするのが良いかを一緒に考え、アドバイスをしています。
そのため、「破産ありき」でご相談に応じることはありません。
(もちろん、残念ながら、結果として「破産するしかない」という事案が多いことは事実ですが…。)
あまり広く知られているわけではありませんが、破産をするためにもルールがあり、費用がかかります。費用が捻出できなければ破産することはできませんし、ルールを破れば手間暇や費用が増え、解決まで時間を要することも珍しくありません。
そのため、「来週、従業員の給与が払えない」と切羽詰まってご相談にいらっしゃるより、「もしかしたら破産をしなければならないかもしれないが、まだ頑張りたい」という状況でご相談にお越しいただいた方が、破産するにせよしないにせよ、よりよい解決が望めると思います。
そのため、弁護士への相談は、破産を決める前にすることが良い、ということになります。
一足飛びに弁護士に相談することでなくても、日頃からお世話になっている税理士の先生に時間を取ってもらい、ご相談することもよいと思います。多くの税理士の先生は、士業同士のネットワークを有していることが多いですから、力になってくれると思います。
(※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、執筆時点のものであり、将来変更される可能性があります。)
執筆日:令和4年5月3日