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自己破産-リアークト法律事務所- 破産をすると、どんな影響があるの?①(職業の制限)

破産をすると、どんな影響があるの?①(職業の制限)

時折、借金に苦しんでいる相談者の方の中には、「破産をすると、今後の生活に大きなデメリットがある」と考えていらっしゃる方がいます。

そこで、本コラムでは、破産をした場合にどのようなことが起きるのか、について説明します。

 

まず、破産をすると、仕事に影響があることがあります。

代表的な例は、株式会社の取締役です。

株式会社と取締役とは、「委任契約」を結んでいますが、この「委任契約」は、取締役の破産手続開始によって終了します(民法653条2号)。その結果、取締役ではなくなることになります。

なお、「破産をした人」を、再度、株式会社の取締役に選任することには制限がありません。

他の例としては、警備員(警備業法14条)、証券外務員(金商法64条の2)、NPO法人の役員(NPO法20条1号)などが、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」について資格制限をしていますから、破産をすると、一時的にこれらの仕事をすることができなくなります。

また、個人で保険募集人を営んでいる人の場合、内閣総理大臣は、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」について、登録を取り消したり、業務の一部の停止を命じることができることになっていますから(保険業法307条1項1号)、破産手続開始決定後、一定の手続が行われることによって、制限を受ける職業もあります。

このような制限は、他人の財産を預かったり、管理したり、守ったりする職業に多いようです。

「一時的に」という意味は、「破産手続開始の決定を受けて復権を得るまで」という意味です。

どのような場合に復権が認められるかと言うと、代表例は以下のとおりです(破産法255条、256条)。

 ① 免責許可の決定が確定したとき

 ② 破産手続開始後、詐欺破産罪の有罪判決を受けることなく10年を経過したとき

 ③ (免責を得られなかった場合に)破産債権者に対する全ての責任を免れたとき

なお、③については、当然に復権されるのではなく、別途申立てが必要です。

自己破産を申し立てた場合、多くの場合には免責許可を得ることができますから、多くの人にとって「復権を得るまで」とは、「免責許可の決定が確定するまで」ということになります。

 

(※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、執筆時点のものであり、将来変更される可能性があります。)

執筆日:令和4年5月6日