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自己破産-リアークト法律事務所-

破産をすると、どんな影響があるの?③(破産申立後の制限)

時折、借金に苦しんでいる相談者の方の中には、「破産をすると、今後の生活に大きなデメリットがある」と考えていらっしゃる方がいます。

そこで、本コラムでは、破産をした場合にどのようなことが起きるのか、について説明します。

 

破産法は、破産の目的を「債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、持って債務者の財産等の適切かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする」と規定しています(1条)。

つまり、破産を申し立てようとする人(=債務者)は、自身の「経済生活の再生」をするために破産手続を利用する、ということになります。

つまり、自己破産を申し立てると「経済生活の再生」が得られるので、そういったメリットを享受するためには、「破産手続」に協力しなければなりませんよ、ということが定められています。

(逆に言えば、破産手続に協力しないと、「経済生活の再生」を得るために必要な「免責」が得られない、という立て付けになっています。)

では、具体的には、どのような「協力」が求められるのでしょうか?

細かくは色々あるのですが、主要なものは次のとおりです。

(1)財産や借金の状況等の事情について、説明する(40条)

(2)債権者集会に出席する(252条1項11号)

(3)財産のうち、破産管財人が引き渡しを求めるものを引き渡す(265条、270条)

債権者集会に出席するというのは、きちんと説明するということに含まれるので、自分のことについて説明して、財産を隠したり、人にあげてしまったり、壊したりしない、ということです。

また、「協力」というと少し異なりますが、破産手続を進めるために必要な制限があります。

(4)引越しや旅行などをするときには、事前に破産管財人の同意を得なければならない

(5)郵便物が、1度、破産管財人に転送され、内容が調査される。

(4)は、連絡が取れなくなったら困るという意味であり、(5)は財産調査のために必要なことと考えられています。

このように並べてみると、破産が始まった後の生活に、大きな制限があるものではないことが分かります。

また、破産手続開始後の収入は「新得財産」といい、債務者が自由に使える財産になります。

この「新得財産」を、破産管財人から引き渡しを求められることはありません。破産後の新たな生活のために使うことができます。

 

(※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、執筆時点のものであり、将来変更される可能性があります。)

執筆日:令和4年5月13日